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Hidden (Cache)

Hidden (Cache)_e0026645_1112644.jpg寮の目の前にあるレノアシネマで放映中。
週末に学校の友達と行きました。私たちの年齢は17から19歳、他のお客さんたちはどうみても50代以上・・・という雰囲気の会場。さすがフランス映画だけあって「完結」しないで話が終ってしまい、見終わった後に私達だけ「・・・え?(笑)」という反応をしてしまいました。何かあるのかとおもったらそのままエンディング、、、すこし明るい映像が流れて終るのかと思いもうすこし待ってみてもキャストの名前が流れつづけて、、、。というわけで、その後スタバで映画について語る会を開くことに。そうでもしないと気分が消化されなかったので。

最初は「unpleasant きわまりない映画だ」と思いましたが、スタバでの話し合いと、その後いろいろ考えたりして、おもしろさと怖さを楽しめるようになりました。確かに5星★★★★★映画だけのことはあります。

ガーディアンのレビューによると、お決まりの手法をつかった観客を驚かせるホラーではなくて、ただ主人公が誰かに撮られたビデオテープを流すということだけで観客を精神的に巻き込んでしまう「real horror」、という映画です。見ているうちに、そして見終わってからも、自分も誰かに撮られているのではないか、という気にさせられます。結局映画の中で、「誰」がそんなテープをとったのかということは伏せられたままです。友達と最初は「誰がテープをセットしたんだろう」という問題を解決しようとしていましたが、「誰が」とか「どうやって」とか、そういった問題はかなり些細な問題だということがじわじわとわかってきます。
これは「探偵ストーリー」ではないので私たちが生きている限り続くストーリーといってもいいと思います。テーマは主人公のunconsciousness。無意識のうちに感じている「罪悪感」と、それを無意識のうちに「感じないように否定しつづける」主人公が描かれています。つまり、彼の心理がすべてを作り出したとも言え、誰がテープをとっていたかということは大きな問題ではないのです。簡単に言ってみれば、映画のディレクターがカメラをセットして、主人公と観客に深層心理を映し出した、といえます。


映画を見た次の日、たまたま「mind between the gap」(ロンドンの地下鉄の決まり文句でもあります)という話を聞きました。科学的に証明されない宗教の教えや心理、と、科学的に証明された現代の日常の間のgapのことです。聖書に書いてある話などが全部本当だと思っていたら現代の人間とは言えません。かといって、どこまでが本当なのか、とか、科学的に証明できるから信じるとか、そういった疑問を抱くのは問題の核心からかなりはずれた幼い疑問だということです。(権力やお金を集めるためにありもしない話をするような組織があるとすれば、疑ってかかるのも当然だし、簡単に鵜呑みにしては大変危険ということはもちろんですが。)証明できなくても、むしろ、わざわざ証明する必要のない「なにか」を受け入れるということの大切さが身にしみました。

そのほか、ガーディアンの批評で「victim of the modern world」という内容もありました。これは、現代社会に生きる人間の悲劇といったところでしょうか。悲劇まで行かなくても、主人公の幼少時代から、働いて家庭をもつようになるまで、完全に社会は現代化し、さまざまなものが目覚しく変わっています。主人公のお母さんがでてくる場面で「お母さん、部屋で寝たきりでさみしくない?」という質問に、お母さんが「すぐみんなが来てくれるから寂しくなんてないわよ、あなたこそ、ひとりで地下鉄に乗ったり、車で仕事場にいったりするときに寂しさを感じないの?」と言っている場面がありました。

そのほかにも、主人公はテレビに出るような人で人気も仕事も順調、友人たちはインテリばかり、という状況にあるからこそ、それを失うのではないかという恐れが常につきまといます。キャリアの問題、人種差別の問題、夫婦間の問題、そして12歳の息子の思春期の問題、などなどテーマはみつけようとすればきりがありません。

そんなこんなで異常に長い投稿になってしまいましたが、Hiddenという映画、沢山の隠された疑問、ヒント、答え、が見つかる映画です。部屋に帰ってすぐ、ココリコミラクルタイプで気分を晴らした自分でしたが、いろいろと考えさせられ、娯楽だけのためではない映画の楽しみ方がやっとわかってきた気がします。

Story: Auteuil plays Georges, the host of a TV literary review, a man, we later learn, born into wealth and a life where things have come easily for him. Binoche plays his wife, Anne, who has an equally busy career as an editor. Their son, Pierrot (Lester Makedonsky), at the difficult age of 12, must more or less fend for himself.
What shatters the bourgeois calm of this family's life is the anonymous delivery of a series of mysterious package and phone calls that Georges sees as threatening. The packages contain videotapes secretly shot from the street in front of their comfortable home, suggesting they are being watched.
Gradually, the tapes and the crude, childlike drawings that accompany them hint at things even more personal, things that cause Georges to believe he knows the perpetrator. Curiously and tellingly, he refuses to share this knowledge with Anne. Indeed he even tries to hide it but the secret watcher blows his cover.続く・・・
http://www.hollywoodreporter.com/thr/reviews/review_display.jsp?vnu_content_id=1000922119
by congeniality | 2006-02-03 11:01 | Review
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