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現代中東とイスラーム政治

小杉泰著
昭和堂

教科書や参考書になる本
それくらい体系的に中東政治のことが網羅されている
あらゆる種類のベクトルが互いに左右してあらたな方向や傾向を生み出すこと
ベクトルの動きが他の地域よりも更に込み入っているといえる中東の全体像が
とても分かりやすくかかれている
第1章の図解でも紹介されている基本的な概念の違いが様々な問題の核心にあるということがわかる

ここに図は写せないが
西洋型は「西洋キリスト教世界が国家と宗教が別のものとして対立するところから始まったのに比して」イスラームの場合は「マディーナに新生国家が成立することではじめて宗教としても確立する」。
このイスラーム型を著者は垂直分化と呼び、
一番上に神的/レジティマシー(正当性) その次にシャリーア(イスラーム法)
そしてその下にウンマ(イスラーム共同体) その次に人間的、人的/権力という順番に垂直に並んだ構図だと説明する


P.40 「単純な図式化をするならば、近代西洋において法が国家にとっての手段であるとするならば、イスラームにおいては国家が法を執行するための手段と理解されたのである。」

このように、国家とは何か?という質問に対する答えが、西洋や西洋型デモクラシーを導入している国と、イスラーム国家とは根本的に違うのだ、ということを認識する必要が明確に見えてくる

―――

政治の基本概念に対する問に加え、現代のイスラーム復興運動についても沢山触れられている
一番印象深いのは、
イスラーム復興運動には「自己批判」が含まれていること
今までのままではだめだ、という意識がある故
これは実は「反伝統主義」といってもよい
同時に、イスラーム世界を分割した西洋に対する支配への批判がある

また、そのような復興(ある意味では革新)においてスンナ派で大きな役割をはたした
マナール派についての記述も充実している

―――
中東政治を見るとき、憲法上イスラム国家であると自己認識している国家と
軍事政権などが結びつき、どうしてもイスラム国家はイスラムという名の下に国民を支配しているのではないか?という固定観念を持ちやすいが、
アラブの世俗主義も忘れてはならない
例えばイラクのサドル氏が第2のホメイニーとなっては困る、として
殺害されたことも一例だが、イスラム国家であっても、イスラムという名の下に、ではなくて、
国家という名の下に、支配が行われているということは間違いないと思う


イスラム国家の中でも、憲法にどのように記載されているかは国によって様々であり、
一元化して語ることはできない
アラビア語の定冠詞Alがついているかいないかによっても認識が変わってくる

いろいろと常識を覆された
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by congeniality | 2008-09-08 21:09 | Middle East
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