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イスラームと民主主義

Islam and Democracy
Fear of the Modern World
イスラームと民主主義 近代性への恐れ
By ファーティマ・メルニーシー著
私市正年・ラトクリフ川政祥子訳

もっと詳しくまとめたいのですが、、時間の関係上なるべく手短に箇条書き・・・

女性の目、市民の目、学者の目、でイスラムと民主主義について研究されている
優しい文体と、詩や物語を引用しているところから、随筆らしさも感じられる
反面、内容はイスラム社会以前の女神の研究にまで及び、歴史書にもなりえる
イスラム以前の社会とベールによって閉ざされた現代の女性達を結びつけ、
またおなじベールというテーマで、境界線のなくなった現代の世界を問う
それは論理的であり、哲学的
イスラムの平和は肯定と否定の間に保たれるものなのでもろく壊れやすいという
「イスラムは肯定的な柱(服従、平和)と否定的な柱(暴君、無秩序)の均衡の上に築かれているP168」
個人の思想や欲望よりも全体の調和を考える、という思考は進みすぎた資本主義よりもどんなに優しい空間がもたらされるか、と共感を呼ぶ反面、議論に基づく民主主義を考えた場合、西洋的に考えれば「個」はその主たるものであるから相容れない、ということは明確である

西洋に対するフラストレーションも優しくではあるが強く表現されているので説得力がある
言語から物事の捉え方の違いを説明していくところも面白い
―例えば、現代の民主主義には欠かせないであろう「政党」
アラビア語では<ヒズブ>と呼ばれるが、それは「同盟して預言者に対し陰謀を企んだ者達」という観念を含意しているらしい
―又、大統領という意味の<ライス>は、英語のプレジデントの意味する人々の前(Prae)に座る(Sidere)という意味からすべてのものの頭という意味になってしまっている

イスラムの典拠としてコーラン、民主主義のそれとして国連憲章を比較するのも分かりやすい

―――
訳者あとがきにイスラームと民主主義の四つの立場が示されている
1)西欧民主主義の存在を前提とした上でイスラームがそれと矛盾せず内在的に民主的であると考える(そのため、民主主義を「イスラーム化する」とも言い換えられる という立場
2)イスラームと民主主義は両立しえないとする考え方(人間に主権があるのではなく主権は神にあるべきである)
3)イスラームには世俗的な西欧民主主義とは違う、イスラーム民主主義があると考える立場
4)1~3とは異なり、世俗主義的立場からの民主主義論
どれかに分類するとすれば、著者は4寄りの立場であるという
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by congeniality | 2008-08-20 00:53 | Middle East

The CNN Effect (4) (5) (6)

(4) The CNN effect in action
(5) The limits of the CNN effect
(6) The CNN effect reconsidered

最終章に到達・・・
4章では1992-5年のボスニアが例に挙げられる
旧ユーゴはあまり詳しくないために例題が難解に感じるが、このケースでは政策が曖昧だった時期に心情的なメディアが効果的に働いたことが示される
5章では99年のコソボと、94年のルワンダを比較する
前者は陸軍が派遣されることはなく終わったケース、後者は介入をせずに終わったケース
コソボに陸軍派遣ではなく空軍でしのいだ現状は、陸軍を動かすほどのMediaInfluenceがなかった、また、空軍(陸軍よりUS側の死傷者のリスクを減らせ、コストも低い)を送ることだけでせっかくのMediaInfluenceがかわされてしまった、お茶を濁された、とも考えられる ルワンダのケースでこの時のOfficialPolicyが本書に紹介されていたように「ルワンダにはもう平和がないのだから、平和維持のための軍をおくる必要がない」という不可解な見識に基づいていたとすれば衝撃的だ
6章ではさきほどのコストの比較的低い空軍のほかに、資金援助というやり方も挙げられる
今後に提起された問題の一つとして、その資金援助が短期的に加熱した報道へのその場しのぎとならないかが注目されている
他に、このリサーチの課題として、単に立てた理論に当てはまるケースだけ探して(探そうと思えばそれはいくらでもある)満足してしまうのでは意味がなく、難題にぶつかることによって理論を強化、修正、していかなければいけないこと
そして、データが不足している場合にインタビューに頼りすぎてしまうのも危険である
最後に、根本的にソースとするニュース自体がどのくらい事態を正確に伝えているかという基本的なことも問われる

これからの課題の方が多いように思えるが全体としてとても分かりやすかった
ただし、この本を手に取る人は、私も含めて、最初から「メディアが政治に影響を与える」と信じたい人、のような気がする
メディアが政治を動かすことに少しでも影響を与えているのではないか、またはそうであるべきだ、と思って読むと
その期待が裏切られる可能性は大いにある(夢ではなく現実に基づいたリサーチなのでむしろ正確と言うべきなのか)
その分、同じテーマの本をもっと読んでみたくもなる
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by congeniality | 2008-08-18 22:22 | Review

【図説】アラビア文字事典

Gabriele Mandel Khan著
緑慎也訳
説明が多い本というよりは題名通り事典だけど31種類もの書体がきちんと綺麗な表になっているので購入しました
解説を読んでいると、28文字(LamとAlifがくっついたLaを入れると29文字)にこめられた意味と想いが伝わってくる
現代に派生した文法として習っていても原点の1文字に見られる背景を知ると教科書での知識が平面上ではなく立体的になった感じがする

日本語ももちろん、どの言語にも歴史があって、その法則やバランスは美しいと思うけれど
アラビア語はそれがコーランとして宗教、政治、はては人生まで深く繋がっている
ただ自分の考えを伝える「手段」としてだけではなく、言語自身が「真実」であり「真理」である

手段、といえば、
解説の中に、トルコの書体は法律や政治的文書を記す帝国の文字として発展し、
イランの書体は詩と共に栄えた、というのも、地域的な特色と必要に応じて生まれた書体が面白い

アラブ首長国連邦が間違いの表記に対して罰金を課したという話題が
(2001年ですが)BBCニュースにありました

間違った日本語がたまに問題になっても、それが逆に流行語大賞を受賞したり、
時間がたつうちに公用語として認められてしまうこの国では考えられないことだが


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by congeniality | 2008-08-01 02:41 | Review
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