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Holocaust Denial

前回の記事で「少数者」の意見について書きましたが、それに関連して。
数の問題ではなくて「力関係」の問題とも言えます。


この記事は話がばらばらかつところどころつながっているので分かりにくいですが以下の順番に話を進めます。ホロコーストを否定する発言→このような発言は法的に罰せられるべきか→他のケース、たとえば最近問題になっているコーランを使用したカートゥーンなど→言論の自由はどこまでみとめられるのか。→結局、力関係によって左右されてしまうのか

①ユダヤ人大量虐殺という歴史的事実に疑問をいだき、そんな事実は無かった、というこを言い出したDavid Irvingという歴史家がいます。彼とその支持者の言い分は「Jews died but they were not killed」というようなものです。基本的に彼らの言い分は
「アメリカ、イギリスがホロコーストの事実をある意味プロパガンダとして使った=事実ではない、誇張されている」
「生き残ったユダヤ人がいるのなら、大量虐殺があったとはいいきれない」
「ヒットラーが虐殺そのものを指示した文書とサインがないのなら証明できない」
「死者の数が正確に数えられないならどうしてあったという事実がわかるのか、大多数は旧ソ連などにまぎれているにちがいない」
「ガスをまいたとされる部屋の使用目的は別のものだったにちがいない」
「ガスをまいた証拠はみつからない」(これはエンジニアの資格がない歴史家が勝手に調べたものとされる)
などなどです。

②彼の出版した本に対して、出版された本に「彼は非常に危険男だ」という内容がありました。(たしかに彼は危険だと私は思いますが)。そこでDavid Irvingがその本に対して「名誉毀損」で訴えるという裁判がありました。ホロコーストを否定することが罪になる国はヨーロッパにいくつかあります。しかし、この裁判が行われたのは「イギリス」。もしこの裁判で彼が勝訴するとホロコーストがあったという事実がなくなりかねず、とても危険なものでした。

③言論の自由を認めたところで、力関係が左右する
勝手に、「それはなかったのではないか?」などと既定の事実に疑問を呈するのは悪くはないかもしれません。しかし「国家犯罪」として世界中が認めている事実を否定するというのはどうなのでしょうか。
(でもそれに対する反論で、世界が認めているといっても、そのときの力関係、戦勝国によってそのような流れになったということもあるでしょう。)
また、ただ「それはなかった」などと言うだけならば、それはちょっとおかしいでしょ、と流せる場合もあります。しかし彼の場合、そのスキャンダルによってそうとうお金を稼いでいる(訴訟のために家を売ったらしいですがそのあとの話。)ということと、世界に注目されたことで、タイムズ紙で職を手に入れたりもしました。

④そして、どこまでが自由でどこまでが人を傷つけることになってしまうか
先ほど、「流せる」という表現をしましたが、もちろん実際にかかわっている人たちには”簡単に流せる問題ではない!”のです。例えば、最近の話でコーランを冒涜するようなマンガが新聞に出たという事実は、イスラム教の人たちに対して非常にoffensiveなものです。
その話になると、どこまでを規制するのかという許容範囲をどう定めるのかが問題になってきます。
宗教の問題は「人の信仰」にかかわることなので一番sensitiveだと思いますが、そのほかにも人種や文化をネタにした映画やジョークは数限りなくあるわけです。「日本人のサラリーマン像」や「英語がへたな日本人」などだっていろいろなところでネタにされています。かといって、自分自身で自国のネタをいって笑う人もいます。そうなるとどこまでがoffensiveでどこまでがジョークなのかの境もわかりません。もちろんジョークだけでなく、「何かを訴えようと思って」つくった、というような絵や、広告などをどう扱うのかが先決ですが。
そして、実際そのような意見を規制したり罰したりすることを決めるのも現在の「司法と立法」なわけで、それでは結局どこまでどの意見や価値観が反映されるか、という疑問がでてきます。


⑤対処法?そのような広告を載せられるのも、お金や権力があるから、という場合が多いかもしれません。それに反対しようにも、訴訟には膨大な費用と時間がかかります。(そうやってマルクス主義に走ることだけはしたくないですが。)かといって、テロや武力も結果的に沢山の人を傷つけます。 
→勝手にいわせておけばいい、という見方もある。そこを勝手にさせておいてその影響が広まっていく可能性もあるけれど、変に騒いで注目を与えるよりはいいかもしれません。
→だからといって放っておくわけにはいかないほど傷つく人もいる。

⑥最後にどうしても付け加えたいこと
やはり、言論の自由は大切だと思います。
もし、これも禁止、あれも禁止、ということになった場合、そしてそれが独裁政権下で行われた場合、大変に危険な状況になります。
また、もちろん世界の主潮に逆らった意見は「crazy」として扱われるのが普通ですが、たまにはそういう意見が今まで大多数が気づかなかったことを気づかせてくれることもあります。すごく古い例になりますが「地球は丸かった」といったように。
(でも決してDavid Irvingの意見に傾いているわけでも変なカートゥーンを支持したいとも思いません。)

ということで歴史の授業のディベートもさんざんでした^^;。。。広告、マイノリティーの意見、多元主義、マスコミ、とDavid Irvingのケースが切っても切り離せなかったので長くて「結局どうしたらよいんだろう」という文面になってしまいましたが書いてみました。
by congeniality | 2006-02-14 00:53 | Life in UK(academic)
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