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Babel (Movie)

Babel (Movie)_e0026645_516382.jpgバベル。STARRING: Brad Pitt, Cate Blanchett, Gael Garcia Bernal, Paul Terrell Clayton, Koji Yakusho, Elle Fanning, Adriana Barraza, Rinko Kikuchi
DIRECTOR: Alejandro González Iñárritu
先週GoldenGlobeAwardの Best Motion Picture - Dramaに選ばれたばかり。アメリカ、メキシコ、モロッコ、日本、を舞台に話が絡み合って展開されていく作品。我が日本のパートには役所さん、菊池凛子さんが出演して話題になっている。

先週末観て来ました。かなり衝撃的。
グローバル化された社会で、人や物の行き来が盛んになったとはいえ、
そこで私達はコミュニケーションという難題にぶつかる。それがバベルのテーマになっています。トレーラーを見た限りでは、アメリカ、メキシコ、モロッコ、日本、がどのようにつながっているのか分からないけれど、映画はその瞬間のその場の空間と、その時に違う場所では何が起こっていたか、というのを巧みに映し出すので、とてもわかりやすいです。個人という次元と、時間という次元と、空間という次元が見事にあわさった上に、現代の問題を数々提示していました。国が違うと言語が違う(英語、スペイン語、日本語、アラビア語、)という大きな要素、そして歯車がくるってしまった夫婦、耳の聞こえない女の子とその父親、といった私達個人が体験するようなコミュニケーションの要素もとりあげられています。

●日本人として観て面白かったポイント
言語に関しては、英語以外の会話にはすべて英字幕が出ていました。日本では、逆になるのだろうか?手話の場面はでるかもしれない。ただ、私は日本人である故、日本語の時に英字幕を読む必要がないので、むしろ英語よりも自然に耳に入ってくるのが不思議でした。
きっと英語が母国語の人にとっては、日本語のパート、アラビア語のパートが外国語に聞こえ当然。そういう意味では、洋画なのに母国語が聞こえてくるのは、とても新鮮な体験だったとも言えます。(つまり、洋画だったら全部英語であたりまえ、邦画だったら全部日本語であたりまえ、ということの中間が味わえる。)

それに、東京の街はよく知っているからこそ何も不自然に思わないけれど、この映画の中で映されていると、なんだかとっても客観的に見られました。モロッコの村や、メキシコの大地が映った後に東京の繁華街が出てくるのだから不思議に見える理由もわかる。
モロッコ、アメリカ、Etcの場所に自分がいるような気持ちで見た映像の直後に、日本での映像にかわれば、そこで<海外で起こっていることがテレビの箱の中だけでおこっている出来事>に見えてしまうか、という感覚もわかります。


●日本人として、といったけれど、それは誰しもが持っている基点
(それがたまたま私は日本だったということ)
自分が今物理的にイギリスに位置している、という前提でも物を考えられるけれど
東京基点で世界を思い描くということにも当然慣れているので、こんな感覚になったのだと思います。でもこの映画はそれだけじゃない!他の場所を基点として人生をおくっている人のことも、想像することができる。誰しもHomeと呼べる場所があって、どんなにグローバルになったとしても、精神的には帰る場所が必要ということ。
単純に生活の違いを見るのも面白い。女子高生がゲーセンで遊んでいる間に、モンゴルでは少年が動物を追っているのだ。


●その他
人間がつくったはずの「国」と「境界線」に支配されている人間
そして、何でも治めることができる、と過信していて、大自然の中では人一人ではどうする力もない人間
という、正面からはなかなか見つめるのが難しい事柄をどんどん突きつけてくる映画です
もちろん、人間である、という共通項で助け合える底力も見て取ることができます

●印象にのこったシーン
個人の小さな悩みから国家間の相互理解の欠落まで、様々なスケールではびこる恐怖心、そこで防衛心からおこる殺し合い。一番印象に残ったのは、武器に頼る大人が「話し合う」「分かり合おうとする」ということをすっかり忘れているときに、兄弟を守ろうとした少年が一番素直に立ち向かった場面。子供の方がよっぽど強いのではないか、と、ここは本当に感動します。(これ以上言うとネタばれになるのでここまで。)


●あとがき
私は映画館に行くときは、必ず何か食べながら観ます。感情移入しすぎて映画感になってしまうのを防ぐため。この映画にはいつもの倍以上の食べ物が必要でした。そうでもしないと観ていられない。ただ、2時間強という長めの作品であるし、決して晴れた気分で見ていられる作品ではないけれど、最後まで見てこそ、と言える作品。また映画館の大きなスクリーンで見る価値のある映画。
by congeniality | 2007-01-24 06:38 | Review
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